第2場 病院のチャペル

病院のチャペルに高橋愛が一人、飯田先生の声が遠くから聞こえてくる
川‘〜‘)<高橋さーん、高橋さん。どこー
チャペルに泣いている少女が入ってくる。
高橋愛は少女に向かって
川* ’ー’)<しー、内緒、ね
高橋愛は物陰に隠れる。飯田先生が入ってくる
川‘〜‘)<高橋さーん、あ、桃子ちゃん。
川‘〜‘)<今、誰か見かけなかった?若い女の人なんだけど・・・
桃子と呼ばれた少女は、だまって愛が隠れているのとは反対の廊下へと続くドアを指差す
川‘〜‘)<ありがとう。高橋さーん
飯田先生が、去っていく。
川* ’ー’)<サンキュー!桃子ちゃん
ル*’‐’リ<どうして、桃子の名前知ってるの?
川* ’ー’)<さっき、飯田先生が教えてくれました。でしょ、桃子ちゃん。
ル*’‐’リ<そっか。ねぇ、お姉ちゃん、逃げてきたの?注射怖いから?
川* ’ー’)<ふふふ、まぁね。桃子ちゃんも注射が怖いから泣いてたの?
ル*’‐’リ<違うよ
川* ’ー’)<じゃあ、どうして泣いてたの?
ル*’‐’リ<ママに会いたいの・・。
川* ’ー’)<ママは会いにこないの?お見舞いに
ル*’‐’リ<お仕事忙しいんだって
川* ’ー’)<日曜日も?
ル*’‐’リ<ママね、お仕事するのは桃子のためよって言うの
ル*’‐’リ<どんなに高いお薬でもママが頑張って買ってあげるからねって
川* ’ー’)<優しいママだね
ル*’‐’リ<うん。でもね、星祭の日には来てくれるんだよ
川* ’ー’)<ほんと!楽しみだね
ル*’‐’リ<でも、星祭って8月でしょ。あと1ヶ月もママに会えない・・。
川* ’ー’)<1ヶ月なんてすぐだよ
川* ’ー’)<それにね、桃子ちゃんにはママがいるだけ幸せなんだから
ル*’‐’リ<お姉ちゃん、ママいないの?
川* ’ー’)<うん・・。小さい頃、離れ離れになって、顔も覚えてないんだ
ル*’‐’リ<パパは?
川* ’ー’)<パパはいるけど、ずっと外国にいるから会えないの
ル*’‐’リ<ママのこと、何にも覚えてないの?
川* ’ー’)<一つだけ覚えてる
ル*’‐’リ<なに?
川* ’ー’)<私だけの子守唄
川* ’ー’)<ママがね、私のためにテープに残しておいてくれたの
川* ’ー’)<その歌だけが、たった一つのママの思い出
ル*’‐’リ<どんな歌?
川* ’ー’)<聞きたい?
ル*’‐’リ<うん
川* ’ー’)<じゃあ、桃子ちゃんのために特別に歌ってあげるね
ル*’‐’リ<ありがとう

♪眠いまぶたを閉じて 明かりをそっと消して おやすみ あなたの小さな手のひらが愛しくて
♪少し悲しいことが 今日あったと泣いてた おやすみ 夢の中きっと微笑んでいるように
♪ひとつひとつ窓の灯が 消えてゆく夜の中で あなたの小さな吐息が 世界のすべて
♪明日はお雛様に桃の花を飾りましょう おやすみ 今宵も幸せであるように
♪おやすみ 私はいつでも あなたのそばにいる・・。