「流れ星のララバイ」文字起こし第9回

第九場 病院の中庭
川o・-・)<やっぱりここに隠れていたのね
川* ’ー’)<ほっといてよ
川o・-・)<夕べはどこにいたの?桃子ちゃんのお葬式にも出ないで
川o・-・)<愛は桃子ちゃんのこと凄く可愛がってたから、つらいのは分かるけど
川o・-・)<桃子ちゃんのお母さん、愛に会いたがってたよ
川o・-・)<いつも桃子ちゃんからお話を聞いていたから、会ってお礼が言いたいって
川* ’ー’)<かわいそ過ぎるよ。桃子ちゃん、まだ9つだったんだよ
川o・-・)<でも、桃子ちゃん、生まれたときから心臓が弱くて
川o・-・)<8歳の誕生日は迎えられないってお医者様にも言われてたそうだけど、
川o・-・)<頑張って9つまで生きたのよ。
川o・-・)<短かったけど、愛に会えて幸せだったんじゃないかな
川o・-・)<そうじゃなきゃ、あんな嬉しそうな顔で旅立てなかったと思うの
川o・-・)<これ、桃子ちゃんのお母さんから預かった。愛に渡してって。中は手紙なんだって
川* ’ー’)<・・手紙・・

愛お姉ちゃんへ、毎日、お歌を歌ってくれてありがとう
愛お姉ちゃんに会えるまでは病院が大嫌いだったけど、今は好きになりました。
これから行く天国もきっと好きになれるよね。ママが桃子はお星様になるんだって教えてくれました。
桃子はチビだけど、その分ピカピカ光って合図するね。だから、ときどき空に向かってあの歌うたってね。
桃子の隣は愛お姉ちゃんが星になった時のためにとっておくね。でも、急いで来なくていいよ。
お婆ちゃんになってからでいいからね。ずーっとずーっと待ってるからね。桃子

川o・-・)<あの子、本当に可愛い顔だったよ
川o・-・)<今にも笑い出しそうなくらい。
川o・-・)<ねぇ、愛。桃子ちゃんの言う通り、お婆ちゃんになるまで生きて
川o・-・)<空に向かって歌をうたってあげなきゃ。そうでしょ?
川* ’ー’)<ドナーは見つからなかったじゃない
川o・-・)<まだ続けるから、だから
川* ’ー’)<・・もう、いい。もうやめて
川* ’ー’)<でも、みんなが一生懸命探してくれたこと忘れないよ
川* ’ー’)<少しの間でも生きる希望が持てたの嬉しかった
川* ’ー’)<希望が持てるってどんなに幸せなことか分かった。
川* ’ー’)<ありがとう、あさ美
川* ’ー’)<ねぇ!どこかなぁ、桃子ちゃん
川* ’ー’)<しっかり探してよ。私、その隣に行くんだから
川* ’ー’)<あ、きっとあれだ。今、ピカピカって合図してきた。きっと、あれが桃子ちゃんの星だ。
川* ’ー’)<ねぇ、あさ美、私が死んだら泣くっていったよね。
川* ’ー’)<泣かなくていいから、歌をうたってくれないかな
川o・-・)<私が?
川* ’ー’)<私と桃子ちゃんの星に向かってうたって欲しい歌があるんだ。
川* ’ー’)<歌うから、聞いてて
川* ’ー’)<♪眠いまぶたを閉じて 明かりをそっと消して
川* ’ー’)<♪おやすみ あなたの小さな手の平が愛しくて
川o・-・)<♪少し悲しいことが 今日あったと泣いてた
川o・-・)<♪おやすみ 夢の中きっと幸せであるように
川* ’ー’)川o・-・)<♪一つ一つ、窓の灯が、消えてゆく夜の中で
川* ’ー’)川o・-・)<♪あなたの小さな吐息が、世界のすべて
川* ’ー’)<・・どうして知ってるの?この歌
川o・-・)<どうしてって、これ私のママが作った子守唄なの
川o・-・)<しょっちゅうピアノを弾きながら口ずさんでたわ
川* ’ー’)<あさ美のママが・・
川o・-・)<うん
川* ’ー’)<この歌、私のママが歌ってくれた子守唄だと思ってた
川* ’ー’)<だから私のためにテープに・・・。でも、どうして?
川o・-・)<いったいどういうことなんだろう?・・・生まれたのどこ?
川* ’ー’)<え?
川o・-・)<もしかしたら近くに住んでいたのかもしれない
川* ’ー’)<東京、南青山
川o・-・)<私も・・、ねぇ、誕生日いつ?
川* ’ー’)<1987年3月3日
川o・-・)<・・・一緒だ
川* ’ー’)<私たち、何なの?
川‘〜‘)<あなたたちは双子なのよ
川‘〜‘)<愛さん、お父様からさっき連絡が入りました。
川‘〜‘)<あなたが3つの時に分かれたきりになっていたお母様と妹さんのことが分かったの
川‘〜‘)<お母様は残念ながら去年亡くなりました。
川‘〜‘)<でも、妹さんはいるわ。あなたの隣に。
川* ’ー’)<あさ美が。でも、全然似てないよ。
川‘〜‘)<あなたたちの場合、双子といっても二卵性なのよ
川o・-・)<愛がお姉さん・・
川* ’ー’)<信じられない・・。
川‘〜‘)<あさ美さん、あなたの血液をすぐに調べさせてもらえるかしら
川‘〜‘)<骨髄の移植が出来るかもしれない
川* ’ー’)<この病院の人は全員調べたんじゃないの?
川‘〜‘)<あさ美さんは、お母様が亡くなったあと体を壊してたのよ
川‘〜‘)<だからドナーになるのは無理だと思って調べてなかったの。
川‘〜‘)<でも、こうなれば話は別。すぐに検査を受けてもらえるわね。
川o・-・)<はい、もちろん
川‘〜‘)<私は準備してるわ。出来るだけ早く診察室に来て
川o・-・)<はい
川‘〜‘)<よかったわね
川* ’ー’)<・・・はい


川o・-・)<やっとわかった。ママの謎
川* ’ー’)<え?
川o・-・)<ママはいつも、ピアノの上にお雛様を二つ並べてたの
川o・-・)<お内裏様とお雛様じゃなくてお雛様を二つ。
川o・-・)<私がおかしいよって言っても、ただニコニコしているだけで訳は教えてくれなかったけど
川o・-・)<一年中、大切に飾ってた
川* ’ー’)<それ・・、私たち?
川o・-・)<亡くなる時も病院の枕もとに、そのお雛様を並べてた
川* ’ー’)<それじゃ、ママは私のこと忘れてなかったんだ
川o・-・)<ママが引き合わせてくれたのよ
川* ’ー’)<ママ・・
川o・-・)<愛、死なないで。何があっても生きて
川* ’ー’)<ずっと見捨てられたんだと思ってた。捨てられたんだって
川* ’ー’)<でも、ママはずっと私のこと覚えてくれてたんだよね
川* ’ー’)<妹もいた。私、一人じゃなかったんだね。
川o・-・)<一人じゃないよ
川* ’ー’)<あさ美、私生きたい、死にたくない
川o・-・)<大丈夫、ママが守ってくれる。きっと守ってくれる。
見詰め合う二人

♪眠いまぶたを閉じて 明かりをそっと消して
♪おやすみ あなたの小さな手のひらが愛しくて
♪少し悲しいことが 今日あったと泣いてた
♪おやすみ 夢の中きっと 幸せであるように
♪ひとつひとつ窓の灯が、消えてゆく夜の中で
♪あなたの小さな吐息が世界のすべて
♪明日はお雛様に桃の花を飾りましょう
♪おやすみ、あなたが今宵も、幸せであるように
♪おやすみ、私はいつでも、あなたの側にいる