雨と夢のあとに

見てきました。泣けました。気持ちいいくらい泣けました。キャラメル作品でいうと「広くて素敵な宇宙じゃないか」くらい泣けました。つばめさんも言ってましたが、中盤以降、台詞のひとつひとつが胸に響いてきて、自然に涙があふれますね。


キャラメルボックスは演劇なので、普段ハロープロジェクトを中心に舞台を見ている人には信じられないかもしれませんが、役者にマイクはないんですね。もちろんステージ上の音を拾うマイクはあるんですけど、ピンマイクやそういったものはつけていません。だから、ずっとテレビでやってきた福田麻由子さんを心配してたんですけど、杞憂でしたね。もちろん舞台役者ほど声が通るわけではないけれど、作品に入っていくにしたがってまったく気にならないレベルですね。


それで、福田麻由子さんなんですけど、取り立てて上手い!と思わせる演技をするわけではないんですけど、自然と必要外のペルソナ(仮面)を外して、福田麻由子の雨と重なる部分だけを出してるんですね。そういう意味では格段にうまいです。演ずる技術じゃなくて、演技という本質的にうまいですね。


人は、素の自分にこうなりたい、こう思われたいというある種のペルソナをかぶって生活しています。演じるというのは、いったんとういうペルソナを全部外して、役と重なるペルソナだけを自分に付け足していく。もちろん、ないものは足せないし、人によって持っているものは違うから、同じ役でも演者が違えば、それは別のキャラをもった役になります。


という話を敢えて「リボンの騎士」のまえに書いておきます。高橋愛ちゃんが「普段の高橋愛を忘れて・・」っていうのは、そのペルソナを外すということと同じです。また、私が、でもその上で「高橋愛にしか出来ない、高橋愛にならできるサファイアを」というのも、やはり同じことなんですよね。


さて、キャラメルに話をもどして。8月いっぱいやってる公演なので、ストーリーには触れません。クロノスときに、どーせうちはモーヲタしか見ないだろうと思って書いたら、思いっきりネタバレしてしまったようなのでw。しかし、いろいろと感慨深い公演でした。福田麻由子さんが小学6年生11歳だそうなんですけど、共演していたキャラメルではすっかり中堅女優になった岡内美貴子さん。僕は彼女の初舞台も見てうぃるんですよね。キャラメルの初舞台じゃないですよ。正真正銘の初舞台。まだ、岡内さんが福田麻由子さんと変わらない年頃の話です。舞台はミュージカル「Annie」岡内さんはたしか、ジュリー役でした。


その後、キャラメルボックスで「MyBelle」という作品のをやったときに、パンフに役者さんが、「私の初舞台」というテーマでエッセイをのせてたんですけど、岡内さんのはこうでした。「ミュージカルアニー」とか書いてませんでしたが、分かる人にはわかる書き方でw、「初日のカーテンコール、満員の客席から拍手を貰ってしまったあの日、私は舞台女優になろうと決めた。」


福田麻由子さんが初日のカーテンコールでどう思ったかは知りませんが、いったことのある人は分かると思いますが、キャラメルのあの終演後の拍手。どこの会場へいっても、あれほど温かい拍手は私は自分の人生で経験したことがないんですけど、それを聞いて、また舞台に立ちたいと思ってくれればいいですね。


カーテンコールといえば、前説に出ているキャラメルボックス総指揮者の加藤さんが、いつになく急いで前説をやっていて、何が何でも19時にスタートすると言ってましたが、えーと、そうですね。ハローに行きなれている方はピンと来るのかもしれませんが、そうです。福田麻由子さんが、小学生であるため21時以降の労働は出来なんですね。加藤氏いわく「われわれも、こうやって、どうみても遊んでるようにしか見えないんですけど、実はこれは法律上労働だったんですね!!そういうわけで、麻由子ちゃんは21時までに劇場を出なくてはなりません。だから19時きっかりにスタートします。推してしまった場合には、もしかたら突然別の人が雨を演じているかもしれません。もしくは、いるものとして演技しているかもしれません」と後半は冗談ですが、言ってました。


で、その実際のカーテンコールですが。1回目はなんとか間に合いまして、早口のご挨拶でw。2回目はもう21時を過ぎて、麻由子ちゃんはなし。3回目は、お父さん役の岡田達也さんが、麻由子ちゃんの等身大の看板をもって登場。伝言だけ伝えていきました、電源も「日本沈没も見てね」なんですけどね。泣いて泣いて、最後は笑って終わりっていうのが、なんかいかにもキャラメルらしい締めかたでした。


そういえば、今回のメンバー。ハローとも無関係じゃないんですよね。久松さんは、なっちミュージカル「おかえり」でなっちの相手役でしたし、篠田剛さんは、「江戸っ娘。忠臣蔵」に出てましたし。