8/10昼リボンの騎士&ナイロンの物語

8/10昼の「リボンの騎士」を見てきました。偶然にもこの回に居合わせた一般の人は、さぞ驚いたことでしょうが、この日はなっちフランツの初回で、安倍なつみ25回目の誕生日でもあったわけです。そんなわけで、客席にはずらりとなっちヲタさんが並び、フランツの登場シーンではわれんばかりの拍手が巻き起こったり、さぁなっちの歌だと意気込んだなっちヲタさんが「なっちー!」と叫んだら、美勇伝が歌いだして失笑が起こったりと、事情を知らない人は、きっと不思議に思ったことでしょう。


カーテンコールになり、生演奏による「ハッピーバースデー」とケーキの登場となっちの号泣に、やっと「あぁ、こういうことなのか」と得心されたかもしれません。私の隣の席は一般の方っぽかったですが、なっちが泣き出したときには、良い席に立ち会ったという感じで拍手を贈っていました。


で、なっちのフランツですが、非常になっちらしいフランツでした。石川さんが、石川さんのイメージするフランツに自分を近づけるために不要な部分を捨てて演じたのに対して、なっちはフランツをなっちへ引き寄せて演じた感じです。その分コミカルな魅力が出ていたと思います。そういえば、フランツの檄に応じはせ参じるのは、亀井ちゃん演じるトルテュと、新垣さん演じるヌーヴォーですが、なっち・亀井・ガキさんって、どこのなっち軍団だよwって連合軍です。


ちなみにこれまでフランツをやっていた石川梨華さんは、ついに淑女デビューです。フランツを演じるときには捨てていた、梨華ちゃんのキショイ部分が全開です。石川版牢番ピエールも、初登場ですが、こちらは一番われわれの知ってる石川さんに近い演技かな。3パターン見ましたが、私の好みでいえば、この役は辻ちゃんが一番いいかな。



ただ、この公演で気になったのはキャストの喉の疲弊ですね。月曜日の段階で、だいぶ喉が疲弊してることが分かりましたが、水曜日の休みを挟んでもあまり回復していないようです。といっても、ミュージカルは休みでしたが、ハロモニの収録してたという話も聞きますし、うーん・・、なんとも厳しい状況ですね。


さて、「リボンの騎士theミュージカル」は公演時間2時間半と、とても長いお話ですが、物語としては2時間半というのは十分な時間ではなく、いろいろと書き込みの不十分なキャラも出てきます。演出としては時間の関係で泣く泣く切ることになるのですが、そこはそれ、書き込まれていなければいろいろと勝手に肉付けして楽しむことが出来ます。


というわけで、今回はそれの第1回
第1回としてとりあげるのは、ぶらんしゅに予告してた通りナイロンです。
ナイロンの物語(性質上ネタバレです)




最初に断っておきますけど、てってけは原作の「リボンの騎士」をまだ読んでいません。公演期間半ばくらいまでに読んでおこうと思ってはいますが、まずは読まずにいろ舞台から想像することにしています。


で、私がナイロンに設定した背景はこうです。ナイロンは一応私の乏しい原作知識では大臣で、吉澤さん演じる大臣のほうが大公なはずです。吉澤さんが大臣へ格下げになっているので、ナイロンはそうですね、宮廷書記官あたりにしましょうか。そのぶん年齢も大臣の年齢から下げて、大臣(吉澤)の推薦で王宮に登用された青年宮廷書記官です。


少年時代は、大臣の屋敷の近所に住む子供で、大臣の息子とも仲が良かった。大臣は、その明るくて素直な性格と、聡明なところが気に入って息子のご学友として屋敷に招き、青年に成長したナイロンを宮廷へ推薦した。先々は、息子を王位につけた時の腹心、さらには宰相となることも期待したかもしれません。


では、このナイロン君はというと、基本的に悪人ではない。ただ、自分にいろいろと気を配ってくれる大臣に恩義を感じている。ナイロンの忠誠心はどちらかという国や王家ではなく、大臣に向いている。恩に報いるためにも、大臣の役に立とうとしている。


しかし、それはサファイアや王様を殺してまでというものではない。徐々に手段を選ばない大臣のやり方に、疑問を持つようになる。大臣からの恩と良心の葛藤がある。良心部分は、真実の告白をしたがっている、あるいはこのままでは大臣にとってもいいことではないことはわかっている。これだけ書くと、深刻な悩みなのですが、そこはそれ小川麻琴ですから傍目に深刻には見えませんw
そこがマコの演じるナイロンの弱い部分なのですが、いけないことは分かりつつも、なんとなく流されています。


そこを見透かしたように、リボンの騎士が現れます。ナイロンは脅された形で真実を告白しますが、良心のほうはほっとします。しかし、こんどは大臣を裏切った罪悪感から、戴冠式は欠席します。この辺も弱いところです。


その後、政変が起こりナイロンはまたまた時勢に流されて、要職につきます。結果オーライで、大臣と新国王に尽くすことで、自分自身の負い目を埋めようとしますが、やっぱり傍目にはそんな風にも見えませんwですが、ナイロンの目でも、明らかに王国は傾いていきます。内憂外患というやつです。あぁ、やっぱり・・という、はじめからわかってはいたけどね感が漂いますが、それでも成り行きに任せるところが、やはり弱いところです。


ことが治まり、大臣がシルバーランドを出ることになる。このとき初めて、ナイロンは初心に戻り、強い心で共をすることを願い出ます。今度こそ、この二人をお守りするのだという強い意志がナイロンにはあります。それは本当の旅立ちでもあり、ナイロンの大人としての旅立ちでもありました。今居る環境から、新しい世界へ、それはとても勇気のいることです。
「私は強くなんかない。だからこそ、強くありたいと思っている。」


愛と優しさと強さを探しに、ナイロンの旅が始まります。
普段かっこ悪いことをしている人間が、かっこいいことをしてしまう瞬間は、最高にかっこいい。